- 2006-03-10 (金)
- Web And Technology
Session - Putting the Fun in Functional: Applying Game Design to Mobile Services
by Amy Jo Kim
2006/03/07 13:45-14:30 Elizabeth Ballroom C
講演者について
Amy Jo Kim
国際的に有名な、ネットワークゲーム (ゲームコミュニティ) デザイナー。デザインスタジオ ShuffleBrain 代表。主なクライアントはElectronic Arts、 eBay、Limelife、Digital Chocolate、MTV、Square/Enix、Yahoo!等。Community Building on the Web (和訳版) の著者。 University Of Washington にて行動神経科学の博士号を、UC San Diego にて体験心理学の学士号を取得。現在はUSCにてゲームデザイン学の講師を務める。Blog - musings of a social architect
総括
ゲームは楽しくて魅力的なもの。システムやアプリケーションにゲーム要素を取り入れる事で、ユーザの顧客満足度を高める効果を生み、より頻繁な利用、より長時間の滞在を促すことができる。
ゲームを構成する5つの要素
- Collecting
収集欲を刺激し、集めることによって人に自慢する行動を喚起する要素。(例)ポケモン、WEBサイトでは Flickr, MySpace, WOW 等。その他多くの例はカードゲーム等の少年向けホビーに見られる。
全収集(コンプリート)を目指して多大な努力や時間を費やすユーザが多く出てくる。 - Points
得点や投票・評価制度。ハイスコアランキングはユーザの行動を強力に喚起する(が、とても魅力の強い要素の為、デザイナー側は充分気をつけて設計する事(駄目な例は:mixiでどれだけ多くの友達を増やせるか)。現在でもeBay、YouTube、MySpace等のWEBサイトではユーザ同士の評価制度・ポイント制度がサイトの魅力向上に貢献している (Social Point 制度)。
得点を簡略化させたのがレベル制。ある程度の習熟度に達したユーザに、新たなレベル(難易度)を与える事により、新たな魅力・行動を促す事ができる。 - Feedback
ユーザの行動に対する反応(動作や変化)を示す事。大人のDSトレーニングのように、脳年齢という形でFEEDBACKを示す事でさらなる修練を促せたり、Pop n' Music や DDR のように反応そのものが音楽になる、といった魅力や楽しさを提供できる。昨今のAJAXページの魅力の多くはここに該当する。 - Exchanges
社会的交流。ユーザ間のコミュニケーションを促す。交換・取引・贈り物。贈り物を受け取ったユーザは、大抵相手に何かを送り返したい、という行動に出る。ゆえに、ユーザ間の交流を促したいWEBサービスにはとても有効。例) MySpace のコメント投稿、ユーザ追加 - Customization
個人趣向に合わせたさまざまなカスタマイズ機能。サービスに対する没頭を促し、利用停止への障壁を作り上げる。特に十代の若者にとっては自己主張の場として効果的に利用を促す事が可能。(例) MySpaceのカスタマイズ機能、Google Personal Homepage, 各BLOGサービスのデザインカスタマイズ機能。
Kim女史曰く "MySpace reminds me of walking into a teenager's bedroom" (笑
プレゼン資料
個人的感想
ゲーム世代だったらどれを聞いてもピンとくる要素ですね。ETechの参加者の中でも経営層やデザイナー層 (女性が多かった辺りからの推測) の方が熱心に聴いていた印象。Welcome to the world of video game :)。任天堂の大人のDSトレーニング (しかも "もっと脳を" の方) やTaitoのクッキングママ(どちらも日本語版)を具体例として出していたのには驚きました。ちゃんと日本のゲームも研究してるんですねー。
人を惹きつける、サイトの魅力を上げる要素として、こういったゲーム的アプローチは有効だと僕も思います(有効... でも有用かどうかは別の話だけど)。5つの要素 - そんなサイトを構築する際の参考に。
関連情報
- How Game Mechanics Can Make Your App More Fun - O'Reilly公式Conference News Blog での Bruce Stewart 氏によるセッションの総括記事
- Psychs さんによるセッションレポート
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