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mix06 Microsoft流 mix - カンファレンス概要

2006/03/20 - 22 の3日間で開催されているマイクロソフト主催のカンファレンス "MIX06" に来ています。今日ですべてのセッションが終了したので、ぼちぼちレポート報告を書いていきたいと思います。

概要

カンファレンスの内容は

not only broadband, internet used in different devices - microsoft's definition of "mix"
回線の高速化だけで無く、PC以外の様々な端末でのネット利用がこれからの未来であり、それら端末環境にも windows 技術を提供する事がマイクロソフト流の "mix".
two main theme - new experience through browsers, and beyond browsers
マイクロソフトが提供する新たな2つの価値:
(1) PCブラウザを通しての新たなユーザ体験
(2) PCブラウザ以外でのネット利用環境の整備

に集約していました。以下、それぞれの意味と該当する新製品について簡単に紹介していきます:

マイクロソフト流 "mix"

会場の至る所で見かけた、この eye catch 画像が象徴的でした:

タグクラウドっぽく並んでるキーワードの各行2単語が、マイクロソフトが mix (統合) していきたいとする概念を表しています。僕の個人的な解釈をすると、

  • PCとテレビを統合したネット利用環境に
  • リーチのあるWebアプリに、ローカルアプリの使いやすさをもたらす
  • デザイナーと開発者の作業フローをよりスムーズに統合
  • WindowsOS上のローカルアプリとWebアプリの境を無くす
  • メディアと技術の統合

といった具合です。

これは Tim O'Reilly 発 / OpenSource コミュニティ主体な web2.0 的流れ - Remixing the Web - とはやや方向性が違っているかと思われます。概念の中には CUSTOMERS <> COMMUNITY といった具合に web を知の集積と捕らえた、web2.0 的な要素も含まれてはいますが、それはあくまで全体の一部。マイクロソフトが推し進めたいのは、

Microsoft (Windows) as a Platform - MS製品による垂直統合 -

なのだと思います。カンファレンス3日間を通して受けた印象です。

でもそれはそれで魅力的

"mix" なんて気になるキーワードを掲げていたので、MSもついに web2.0 の流れに乗るのか!? なんて期待して望んだのですが、ちょっと肩透かしを食らった感じです。でも、さまざまな新製品・新テクノロジーの説明を聞くと、それはそれで好感が持てたし、ワクワクしたのも事実です。MSが抱える圧倒的なエンジニアの数 / 技術力を持ってして生み出されただけあって、概要説明だけ聞くと夢広がる感じでした (笑

PCブラウザを通しての新たなユーザ体験

今回発表になった数々の新製品/テクノロジのうち、個人的に重要だと思えたものは以下のとおり:

  • IE7
    既にbeta版が出回っている、云わずと知れたMS製ブラウザの最新バージョン。高機能な RSS FEED 表示機能、タブブラウジング、セキュリティの大幅強化、フィッシングフィルタの搭載、印刷プレビューの高機能化などが主なバージョンアップ内容だそうです。
    Official web site - http://www.microsoft.com/windows/IE/ie7/
  • Atlas
    高度なブラウザ体験をもたらしている昨今の AJAX インターフェースを手軽に実現させる為の javascript framework (ライブラリ群)。 最大限利用するにはサーバサイドアプリが ASP.NET 2.0 である必要があります。が、一応 PHP / Perl / Java でも、ちょろっとサーバ側に特定の REST API を用意してあげれば使えるそうです。ASP.NET と組み合わせた際は、JavaScript コードを一切書くこと無く、お手軽に AJAX アプリが作れてしまってました。まあ便利。同じ発想の Ruby on Rails 1.1 と比較してみたくなります。
    Official web site - http://atlas.asp.net
  • WPF
    Windows Presentation Foundation の略称。 よりハイレベルなユーザ体験をWEBの世界にもたらすべく投入された次世代ユーザインターフェース用の開発プラットフォーム。平たく言っちゃえば "Macromedia Flash のマイクロソフト版、かつ高機能版" (汗。誤解招くかも?)。ビットマップ画像に加えてベクター画像を扱え、さらには昨今の高速グラッフィクカード (GPU) を最大限活用可能な3D描画エンジンも搭載しています。
    XAMLなる、MS独自の新たな markup language を介して、デザイン / ロジックの分離が容易で、開発効率にも優れているのもウリでした。
    Official web site - http://www.microsoft.com/products/expression/en/wpf/
    Official web site - http://msdn.microsoft.com/winfx/reference/presentation/
    関連 - Expression製品ラインナップ紹介 - ここでもWPFの判りやすい解説/動画が見れます
  • Windows Live! platform
    web2.0的なサービス。様々な Live! API をユーザが自由に駆使する事によって、mash-up サービスを作る事が可能。作る事の出来るサービスは www.live.com に追加できる独自コンポーネント, 検索エンジン, 広告サービス, コミュニティ系, 地図系 (Virtual Earth), MSN Messenger の拡張... だそうな。詳細は良くわかりませんが、Virtual Earth だけは、パッと見ただけでスゴそうな感じでした (や、bird's eye 俯瞰モードに感動しただけかも)。
    Official web site - http://msdn.com/live

※羅列しただけでは全体像が良くわかりませんね... 後日その辺をまとめたエントリを書く予定です。

PCブラウザ以外でのネット利用環境の整備

主要なのはこの3つ:

  • Windows Media Center + XBOX360
    Windows Media Center は既に発売されている、家庭利用を想定した windows OS の事。ここに各種コンテンツ (music, movie, photo) を集めておいた上で、家庭の各部屋のテレビ+XBOX360 端末から、リモコン操作で簡単アクセスが可能、さらにはネットサービスも統合できるよ、ってのがウリ。開発者は、各XBOX360端末上で動作する UI アプリを自由に作る事ができます。
    Official web site - http://www.microsoft.com/windowsxp/mediacenter/
  • Windows Mobile
    携帯電話、PDA、それに先日話題になっていた Ultra-mobile PC規格 "Origami" 端末などなどのモバイル端末向けのプラットフォーム。
    Official web site - http://www.microsoft.com/windowsmobile/
  • Windows Sidebar
    次世代 windows OS - Vista - にて提供される新たな機能。簡単にいうと、デスクトップ上にさまざまなランチャー的単機能アプリを常駐 / 配置しておくことで、ここからスムーズに各種 Web サービスにアクセスする事が出来る機能。もっと簡単にいうと Mac OS X でいう dashboard、または最近 Yahoo! に買収された Konfabulator (現名 Yahoo! Widgets) のMS版、て感じです。 真似っコ ゲイツちゃん...。
    Official web site - http://microsoftgadgets.com

開発環境のmix(統合)

ベンダー、エンジニア、デザイナーに向けてMSが伝えたかったのが、

1 source works on multiple platform.
1つのソースコード (アプリ) を書くだけで、すべてのプラットフォームで正しく動作すること

なんだと思います。WPF (XAML) という共通UIを、 ビジネスロジックは C# 等の .NET framework を使って実装する事で、いちいち web 用には解像度 xx で、モバイル向けには解像度 xx で、などと環境ごとの差異を気にする事なく、WPFプラットフォームがすべて対応してくれるそうです。本当にそうなら、ちょっとワクワクします。

windows ローカルアプリはもちろん、webアプリまでMSテクノロジで固めてしまうことで、開発効率の向上 / コスト削減 が実現でき、かつどれも今までに無いほどに 高品質 / 高付加価値 なサービスが実現できますよ、と。

最大の懸念点は、これらマイクロソフト製品の出来の良さ / 品質 / パフォーマンスですね。Google も

買ってきたものだと限界にぶつかる。だからすべて自分達で 1からコードを開発している。

主張しているように、サービスのパフォーマンスが天上をついてしまったり、問題にぶちあたってしまった際にはコア部分はマイクロソフトに頼るしか無くなってしまうのが困りもの。まぁ、でもその時はその時で、別プラットフォームへの移植を考えれば良いといえばよいのかも (しんどいか?)。そもそも開発側が、限界まで性能を引き出す程の技術力やサービス規模を持てるケースの方が少ない気もします。

おわりに

以上、長くなりましたが、個人的には今までの "MS製品はとっつきにくいし、なんか野暮ったい" 的な先入観を拭いとる事が出来て、さらにはMSテクノロジをちょいと習得 / 試してみたいかも... 位の好奇心を持てるようになりました。多くの開発者を抱えるMS帝国だけに、きちんとしたモノを作っている風に見えます。あとは実際に触れてみてどうか、って所ですね。

web2.0的な流れに反している・・・といえばそうですが、個人的にはマイクロソフトのような存在が web2.0 と共存している状態があっても良いと思います。一日には昼と夜があるように、すべての事象には二面性があるように。どちらかに偏ること無く、常にゆらぎの中を彷徨う事によって、人は前に進んでいくのだと思います。

関連情報

mix06
カンファレンスオフィシャルサイト。50近くあるすべてのセッションの概要説明と、実際に使用されたパワポ資料がダウンロードできます。まぁふとっぱら。

Virtual Mix
mix06 オフィシャルの、カンファレンス情報発信サイト。ビルゲイツの基調講演をまるごとストリーミング配信している上に、今後続々と基調講演 / 各種セッションの動画をここで配信していくとの事 (セッションの動画UPは04/20前後とのこと)。太っ腹。

Mix06 - mix the next web now. - エバンジェリストグループ Blog - 日本マイクロソフトのエバンジェリスト近藤さんによる紹介記事

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